オンライン旅行会社のマークアップ戦略:価格比較に耐えるルールの作り方

そのメッセージはたいていスクリーンショットで届きます。三年間予約を任されてきた顧客が、同じドバイのホテル、同じ日程、同じ部屋を価格比較サイトで撮った画像を送ってくる。あなたの見積もりより安く、下には疑問符がひとつだけ。管理画面を開くと理由はすぐに分かります。サイト公開日に設定したマークアップ率がひとつだけあり、近距離のエコノミー航空券から五泊のパッケージまで、すべてに同じように掛かっている。オンライン旅行会社のマークアップ戦略は、まさにこの瞬間を乗り切らなければなりません。そして数字ひとつでは、ほぼ乗り切れません。
ここで扱うのは料率ではなくルールです。あなたの帳簿の外にいる誰にも、適正な利益率がいくらかは言えません。言えるのは、マークアップの「形」が利益の漏れる場所を決めている、ということです。
全体共通の数字ひとつが静かに失敗する理由
一律の料率は、すべての販売を同じように扱うので公平に見えます。問題はまさにそこにあります。旅行サイトの商品は、比較にさらされる度合いが同じではなく、対応にかかるコストも同じではありません。
利用者の多い路線の航空券は、あなたが売る商品の中で最も比較される商品です。顧客は二回タップすれば航空会社自身の価格を見られるので、その航空券に乗せたマークアップは一点残らず見えてしまいます。一方、送迎と観光施設のチケットを組み合わせたホテルは、ほぼ比較できません。あなたを確かめるためにパッケージを一行ずつ組み直す人はいないからです。両方に同じ料率を掛ければ、顧客が見ている場所では高すぎ、見ていない場所では安すぎることになります。
コスト側も偏っています。スケジュール変更で再発券が必要になった航空券は、利益でまかなえていてもいなくても、スタッフの時間を取ります。取消期限に余裕のあるホテルは、販売後にほとんど手間がかかりません。全体共通の数字はこうした事情を何も知らないまま、最も割に合わない商品と最も割に合う商品を静かに平均してしまいます。
定額、定率、価格帯別:形の選び方
基本の形は三つあり、実際に回っている価格設定の多くは最終的にそれらを組み合わせています。次の表はあえて立場をはっきりさせています。
| 定額手数料 | 定率 | 価格帯別 | |
|---|---|---|---|
| 仕組み | 予約一件または旅客一人あたりの固定額 | ネット価格または販売価格に対する割合 | 価格帯ごとに異なるルール |
| 向いている場面 | 高額な長距離航空券。定率だと欲張りに見える場合 | ホテルとパッケージ。価格は変わっても手間は減らない場合 | 安い商品と高い商品をひとつのブランドで扱うカタログ |
| 破綻する場面 | 近距離の格安運賃。手数料が運賃の負担できる額を超える場合 | 上級クラスや長期滞在。比較に耐えられる水準を超えてしまう場合 | 価格帯の境目。帯と帯の差が大きいとき |
| 顧客が気づくこと | 高額な旅行ではまず気づかれず、安い旅行ではすぐ目につく | 比較で真っ先に露呈する部分 | 帯が調整されていれば何もない。されていなければ不自然な価格差 |
経営者が最も反論したくなるのは最後の行でしょう。価格帯別は設定の手間が多く、独自の失敗の仕方もあります。境目をはさんだほぼ同じ二つの運賃が、並べると理屈に合わない価格になることがあるのです。マークアップが階段状ではなく、なだらかに上がるよう境目を調整してください。
仕入先別のマークアップが全体共通の数字に勝る理由
多くの旅行会社の価格設定で最も効く改善は、より良い料率ではありません。商品の種類だけでなく、在庫がどこから来るかでマークアップを決めることです。
仕入先の違いは、そのまま利益に響きます。ネット価格で卸すところなら、利益はすべて自分で乗せることになります。コミッション付き運賃や公示運賃を卸すところなら、収益の一部はすでに含まれていて、その上に重いマークアップを乗せれば顧客から二重に取ることになります。リアルタイムで再予約の安い在庫もあれば、リリース期限つきのアロットメントから来て決断を急がされる在庫もあります。市場のあらゆるメタサーチに価格が出る仕入先もあれば、街でほぼあなたしか持っていない商品をくれる仕入先もあります。
仕入先に沿ったマークアップなら、それぞれに誠実な価格を付けられます。顧客が比較する広く流通した運賃には薄く。独占のホテル契約や、あなたしか催行していないツアーには厚めに。そして業者条件で販売する法人顧客には別のルールを設け、一般価格と業者価格が誤って食い合わないようにします。
もうひとつの理由は、一年ほど営業して初めて見えてきます。仕入先別のルールがあると、レポートが読めるようになるのです。利益がすべて全体設定ひとつに入っていると、悪い月はただの悪い月です。仕入先ごとにルールがあれば、どの契約が稼いでいて、どの契約が取扱高を回しているだけなのかが分かります。契約更新のときにしたいのは、まさにその話です。
落とし穴は反対側の極端、つまり誰がいつ作ったのか誰も覚えていない何十ものルールです。採算の構造が本当に違う仕入先にだけルールを置き、それ以外は筋の通った既定値ひとつで扱いましょう。
端数処理は利益の判断である
多くのサイトは最終価格の端数処理を見た目の問題として扱います。そうではありません。架空の例で考えます。マークアップの結果、ある運賃があなたの通貨で412.37になったとします。見栄えがいいからと409に切り下げれば予約のたびに利益を手放すことになり、415に切り上げれば予約のたびに少しずつ上乗せでき、顧客に見える損はありません。一シーズン分の件数が積み上がれば、この選択は料率をめぐる議論の多くより価値を持ちえます。
端数処理を誠実に保つルールは二つです。端数処理はマークアップの後に行い、決して先にしないこと。先にすると、設定したばかりのルールを端数処理が黙って上書きしてしまいます。そして複数通貨を表示するサイトなら、顧客が実際に見る通貨で端数を判断すること。このプラットフォームでは各テナント独自のレート表をもとにブラウザ側で価格を換算するため、円ではきれいに収まる価格がドルでは半端な数字になることがあります。通貨の間で利益がほかにどこから漏れるかは、多通貨予約サイトについての記事で取り上げています。
旅行会社がマークアップを付け忘れがちな付帯サービス
利益は予約の中心よりも周辺から漏れることが多いものです。原価のまま出ていきやすい項目は次のとおりです。
- 変更と再発券。日付変更は実際の作業です。電話、運賃の再計算、新しい航空券。これに対する手数料がゼロなら、その手間の代金をあなたが払っていることになります。
- 顧客の代わりに行う取消手続き。返金を追いかけるのに、予約したときより長くかかることもあります。
- 追加手荷物と座席指定。航空会社に直接ではなくあなたを通して手配すれば、問題が起きたときに背負うのはあなたです。
- 送迎と観光施設のチケット。ホテル滞在に付け足されるもので、ほとんど比較されないのに、習慣でネット価格のまま売られがちです。
- 決済コスト。大きなパッケージのカード手数料は実際のコストです。価格で吸収するのかルールで扱うのか、どちらにせよ決めておくことです。
- ビザと書類の手続き。それを扱っている市場であれば。
どれにも大きなマークアップは要りません。ただ、どれにもゼロではないマークアップが要ります。
設定を誤ったときの代償
価格の誤りは二つの方向で高くつき、数字に表れるのはその片方だけです。
比較される商品で高すぎれば、顧客は文句を言いません。ほかで予約し、まずあなたのサイトを見るという習慣をやめるだけです。あなたはそれを失注とは捉えず、静かな月だと捉えます。比較されない商品で安すぎれば、取消が一件、再発券が一件、為替の振れがひとつあるだけで、その予約は赤字になります。その損失は見えますが、見えるのは遅れてから、たいていは顧客への対応が終わり、お金が動いた後です。
三つ目の代償は、ほかの旅行会社にも卸している会社に降りかかります。サブエージェントが業者価格であなたから仕入れているのに、一般価格のほうが緩ければ、自社の在庫をめぐって自社のネットワークと競うことになります。一般向けと業者向けのマークアップは別々のルールにし、サブエージェントが実際に売っている路線で両者の差が筋の通ったものか確かめてください。一般向けサイトと並べてサブエージェント向けポータルを運営する記事では、両者の切り分け方をさらに詳しく扱っています。
ルールを置くべき場所
予約と同じ場所です。このプラットフォームでは、テナントごとにマークアップ、予約、顧客、レポートを備えた専用の管理画面が用意されるので、マークアップの変更を、表計算から組み立て直すのではなく、影響を受けた販売と並べて読むことができます。価格設定がまだ表計算ファイルとWhatsAppのやり取りの中にあるなら、自社サイトでどう見えるか試す価値はあります。セットアップウィザードがプラットフォームのサブドメインにサイトを用意し、カード情報は求めません。
そのうえで、仕入先との契約を見直すのと同じやり方でルールを見直してください。シーズンが終わったら、商品ごとに、実際に売れたものと照らし合わせて。